国際先導研究「腎臓を創る」を発足 ~移植可能な次世代腎臓オルガノイドを目指した グローバルネットワーク~
(ポイント)
|
腎臓は再生できない臓器です。世界人口の約10%が慢性の腎臓病を患っているとされており、200万人以上が人工透析や腎移植を受けています。その一方で、根治的治療法は存在せず腎移植のドナーも圧倒的に不足しています。わが国でも臓器移植希望者の88%は腎臓が対象です(約14,500人)。しかしながらドナー数が少なく、腎臓移植まで平均して14年9ヶ月の待機期間となっているのが現状です。
複雑な構造と機能を有する腎臓を人工的に作るということは夢物語とされていましたが、2014年に我々は「腎臓オルガノイド」と呼ばれるミニチュアの腎臓を試験管の中で作り出すことに成功しました。この発見が転機となり、この10年で腎臓オルガノイドは遺伝性腎疾患の病気の仕組みを解明する研究などに用いられつつあります。
本計画は将来の移植医療のために、この技術を更に発展させ、高次な構造*2と機能?成熟度を持つ次世代腎臓オルガノイドを作製することを目的とします。ヒト発生学、微細な装置を使った技術、新規全胚培養システム、さらには動物の体内で臓器を作る技術など、多様かつ最先端の手法を結集することで、より成熟し機能を有する移植可能な腎臓オルガノイドを目指します。そのために国内、海外の研究者が強固な国際研究ネットワークを形成して共同研究を行うとともに、その中で若手研究者を流動させることによって次世代のリーダーを育成します。
(URL:https://creating-kidney.jp)
本研究は日本学術振興会 科学研究費 国際共同研究加速基金(国際先導研究)の採択を受けて、6年強(2024年12月から2031年3月まで)の期間で実施されるものです。2024年度の採択は全国で5件、生命科学系は2件のみであり、熊本大学として初めての採択になります。生命科学系としては九州初でもあります。
https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/35_kokusai/05_sendou/ichiran.html
国際共同研究加速基金(国際先導研究)は、優れた国際共同研究に対して基金による柔軟性の高い大規模?長期間の支援を実施することによる、独創的、先駆的な研究の格段の発展を目的とするものです。 我が国の優秀な研究者が率いる研究グループが、国際的なネットワークの中で中核的な役割を担うことにより、国際的に高い学術的価値のある研究成果の創出のみならず、当該学術分野全体の更なる国際化、研究水準の高度化を目指します。 さらに、ポストドクターや大学院生が参画することにより、将来、国際的な研究コミュニティの中核を担う研究者の育成にも資するとともに、国際共同研究の基盤の中長期的な維持?発展につながることを期待するものです。
詳細: プレスリリース本文 (PDF 293KB)
熊本大学発生医学研究所 腎臓発生分野
担当:教授 西中村 隆一(にしなかむら りゅういち)
電話/Fax:
096-373-6615
e-mail:ryuichi※kumamoto-u.ac.jp
(迷惑メール対策のため@を※に置き換えております)